お金のはなし

20代の頃、私は地方銀行の行員だった。

特になりたい職業ではなかったが

家計事情で大学は諦めざるをえず

父の強い願いで銀行に就職した。

 

 

最初の配属店舗は国立の医科大の近くで

行員が12~3人の小規模店舗。

しかし医師や看護師、医大生のお客様が多く

市内でも比較的忙しい店舗だった。

 

いざ仕事を始めてみると

思っていたより楽しくて

色々なことを覚えていくにつれて

もしかしてこれは私の天職かもしれない。

そう思うようになった。

 

銀行員になり最初に教えられたことは

 

「現金その場限り!」

 

お金には名前が書いてあるわけではないので

 

一旦お客様から受け取ってしまったら

また、お客様に渡してしまったら

「間違いでした。」は絶対に通用しない。

 

 

そして

 

次に教えられたことは

 

「正確・迅速・丁寧」

 

金額の大小に関わらず

お客様の大切な財産を取り扱うわけですから

1円の間違いもあってはならず正確は必須

 

ただ、正確さを追求するがために時間が掛かってしまっては

お客様をお待たせすることになる。

 

今はキャッシュコーナーが色々な場所にあるし

ネット銀行も普及し、銀行の窓口に行くことなんてあまりないかもしれないが

今から40年前の当時は、まだまだ窓口に訪れる人が多かった。

 

「あの人、私より後で来たのに先に帰る。私、まだ?」

 

という表情で待つ人、実際に怒ってくる人、、様々

 

だから正確でありながらも迅速な処理と対応が要求される。

 

 

さらに速く正確な処理・対応ができても

それが雑なものであればそれはお客様に対して失礼なこと

お客様の大切な財産であるお金、通帳、書類は

常に丁寧に取り扱うことが必要だった。

今では考えられないが、当時は通帳のお名前は手書きだった。

 

緊張して手が震えていたのを懐かしく思い出す(笑)

 

そして

入行3年目から窓口係(テラー)を任されることになった。

銀行員になった以上、やはりそこは憧れの場所

一番お客様に近い場所で、お店の顔でもあります。

だからこそ「正確・迅速・丁寧」が最も要求される場所でもあった。

 

最初はすごくドキドキしたり、あたふたすることもあったが

うまく対応できてお客様が満足した表情でお帰りになる姿を見ると

もの凄く嬉しくて「ヨッシャー!」という気持ちになったものだ。

 

 

窓口でお客様の目の前で実際に現金を扱うようになると

先に話した「現金その場かぎり!」が本当に重要になってくる。

 

月末月初や五十日(ごとうび)は特に来客数が増え

お昼休みの時間帯は更に増える。

しかもお客様も自分のお昼休憩の合間に来ているので急いでいる。

 

一番間違いがおきる時間帯だ。

私たち行員も2交代で休憩に入るので更に忙しい。

 

閉店時間の15時になってもまだお客様いるってこともよくあった。

 

 

今思えば

入行から8年半の銀行員生活の中で

私は常にお金 しかも自分のではなく

他人のお金、懐事情、財産・・・の中で

仕事をしてきた。

 

繁忙日はカルトンに乗った札束が

足元に山積みで、蹴とばしてしまうなんてことも何度もあった。

 

なんて罰当たりなことだろう。

 

当時はまだ毎月の給与やボーナスが現金支給なんて普通なことで

億単位の現ナマ(現金)が金庫に山積みも当たり前・・・

 

だんだんお金がお金でなくただの物の感覚になっていくのを感じていた。

 

なんかマヒにしていく感覚を覚えていました。

 

お金ってとても大事で

ないと困るものだが

あり過ぎてもやっかいなことになることもあるんだよね。

そんな状況にもたくさん遭遇してきた。

羨ましい話だけど・・・

 

やはりその人の身の丈にあった額っていうのがあるんだろうと思う。

 

ここまで読んでくれたあなたの身の丈にあったお金はどれくらいですか?