日本人として日本に生まれて60年
毎日日本語で話し、書き、読みしていますが
知らない言葉や文字ってまだまだたくさんありますね。
中学生で初めて英語を学び
当時はとても楽しくて
将来は英語を使う仕事 キャビンアテンダント
あの頃はスチュワーデスという名前でした。
になりたくて一生懸命勉強した記憶があります。
結局夢は叶っていませんが その理由はまたいずれ(笑)
英語が流暢に話せる人をカッコいいなあと思う前に
そもそも母国語の日本語さえも全部知らないし
正しく話せているのか?となると全く自信がありません。
タイトルの【美人の日本語】ですが
もう10年以上前に購入した本で
そこには私の知らない美しい日本語がたくさん記されていて
思わず優しい気持ちにもなります。
今日はその中からいくつか紹介したいと思います。
【初心】 ういごころ
「しょしん」と読めば、はじめに思いたった決心のことです。
「うぶ」と読めば、世間ずれしていないこと。
そして「ういごころ」と読めば、けがれのない心のことをいいます。
「うい」や「うぶ」の語源は、どちらも「生み」、「産む」、生命の誕生に
由来する言葉ですね。
実際に生まれることは、誰でも一生に一度ですが、私たちの細胞は、日々
生まれ変わっているといいます。
人は毎日、ささやかな生まれ変わりを、繰り返しているのです。
生まれたばかりのような、まっさらな心で見れば、見えなかったもの、
見失ったものが、見えるかもしれません。
「初心忘るべからず」ですが、初心(ういごころ)も失いたくないですね。
【古学び】 いにしえまなび
古典の学問のことを、こういいました。
「学ぶ」の語源は「まねぶ」、真似るということです。
昔から、学習の基本は、よい手本を見つけて、真似をすることでした。
教えてもらうのではなく、自分から、真似てみたいことを見つけることなのですね。
「いにしえ」とは、「住にし方」いにしへ、つまり、過ぎ去った方角のことです。
過去には、数えきれないほどの人生、数えきれないほどの思いがあります。
お手本の宝庫ですね。
【鞦韆】 ふらここ
ぶらんこの異称です。
ぶらここ、ぶらこ、ふらんど、ゆさはりなど、他にもいろいろな呼び方で呼ばれて
いたそうです。
この難しい漢字は中国語です。そのまま音読みして「しゅうせん」ともいいました。
ぶらんこは、古くからあって、古代ギリシャでも、インドでも、中国でも、豊穣を
祈る儀式に使われていたそうです。
子どもの遊具ではなかったのですね。
最近は、危険だからということで、校庭や公園から、ぶらんこの姿が消えていきつつ
あるそうです。なんだか、少しさびしい気がします。
心地良い揺らぎは、心を癒してくれるもの。
何故かぶらんこに心惹かれるのは、そんな揺らぎを求めているのかもしれません。
【紅差し指】 べにさしゆび
口紅を薬指にとり、唇にそっとつける・・・・・
ハッとするほど、色っぽいしぐさです。
昔は、薬指のことを紅差し指と呼んだのですが、薬指で口紅をつける習慣がなく
なってしまった現在、死後になった感があります。
とりたてて使われることのない指なので、清潔であることから、薬を塗るのに
つかわれたそうです。
そこから、「薬指」と呼ばれるようになりました。
子ども達からは「おねえさんゆび」呼ばれて、親しまれています。
そして、エンゲージリングをはめるための、とっておきの指でもあります。
不思議な魅力を持った指ですね。
【躾】 しつけ
「身を美しく」と書いて躾
これは、日本で考えだされた漢字、つまり国字だそうです。
昔の日本人の美意識がわかります。
美しさは、生まれ持った姿かたちでなく、躾によって身につけることができる・・・
ということでしょう。
「仕付く」と仏教の「習気」じつけ が合わさって、できた言葉だそうです。
「仕付く」は、やり慣れているということ。
「習気」は仏教用語で、繰り返し行われる、さまざまな行動の結果、身についた、
趣味や嗜好などのことです。
意識してすることではなく、無意識にしていることの積み重ねが、人の美魂を
決めるということになるのですね。
そして、その大切さを教えるのが躾なのでしょう。
【涙雲】 なみだぐも
たいていの辞書には載っていない言葉です。
瞳の中にも、空があるのです。
澄みきった空、晴れわたった空、そして、曇り空・・・・・。
今にも雨が降りそうな時、空に雨雲が浮かぶように、目にも涙雲が浮かびます。
最近よく使われる「うるうる」という感じです。
この「うるうる」は、鎌倉時代にも使われていた古語なのだそうです。
昔の人も、やはり、うるうるしていたのでしょうね。
それでも、雨は必ず、いつか、やみます。
そして、空が、まぶしく輝きだすように、あなたの瞳もきっと、輝きを取り戻す
ことでしょう。
【草分け】 くさわけ
「草分け」とは、初めて事を起こす人のことです。
草深い未開の地に踏み込み、新しい土地を開拓するという意味でした。
文字通り、草を分けて、進んでいくことだったのですね。
考えてみれば、すべての物事には、初めてそれをやった人がいます。
道のないところに、道をつける・・・・・。
なんでもないことでも、まったく先の見えない作業ですから、その勇気と苦労は
はかり知れません。
今では、縦横たくさんの道ができ、道路も、人生の道も、昔に比べて、自由に選択
できるようになりました。
これも、無数の草分けたちのおかげなのです。
初めはそこに道はなかったのですから・・・・・。
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最後まで読んでくださりありがとうございます。
一つでも心に響く言葉があったなら幸いです。
人の美しさは、容姿の美しさはもちろんですが
それよりも、言葉の美しさ、所作の美しさが大切だなと思います。
そして、それは、その人の心の美しさをあらわすようにも感じます。
せっかく日本人として日本に生まれたのだから
もっともっと美しい日本語に触れたいと思います。